乾燥・焼却の豆知識

「製紙スラッジ(ペーパースラッジ)」について

読み終わった新聞紙や雑誌などの古紙は、リサイクルされるとトイレットペーパーなどに新しく生まれ変わります。しかし、それらの古紙は100%再利用されるわけではなく、再生紙を製造する過程で月に何トンもの産業廃棄物が出てしまいます。その産業廃棄物のことを製紙スラッジ(ペーパースラッジ)と呼んでいます。

 

この製紙スラッジ、“廃棄物”と呼ばれてはいますが、実はこれ自体も再利用することが可能なのです。その再利用方法として注目されているのが、製紙スラッジを脱水、乾燥、そして焼却して作る製紙スラッジ灰です。

 

製紙スラッジ灰は、表面に微細な孔がたくさんあいており、保水性や通気性などに優れています。この特徴を利用して、植物を育てるための土壌に混ぜて使ったり、セメントの原料として使われたりしています。

 

当社では、古紙が再生紙に生まれ変わる過程で、繊維が短いため紙として再生されないスラッジを処理しています。

「製紙スラッジ(ペーパースラッジ)」に関連する当社の製品

「製紙スラッジ(ペーパースラッジ)」について

紙パルプ産業から発生する製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用は緊急のテーマです。

 

これまでセメントの原料として処理されていた製紙スラッジ(ペーパースラッジ)について「紙原料としての利用」・「土木関連資材としての利用」・「エネルギーとしての利用」を実現するための技術開発を行なう取り組みは、エネルギー利用の効率化に加え、資源の有効利用という観点からも、有効な取り組み分野です。

 

また、企業や地方の研究センターなどでも研究されている分野でもあり、新規で革新的な研究開発事業とは言い難いところもあるかもしれませんが、経済性の観点や事業化の広がりの観点からも、社会的意義や可能性をより深めていくことも重要だと考えられます。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用は、地球温暖化対策と同時に廃棄物処理としても取り組まなければならない、問題解決型研究開発としての性格を有しているため、目標は具体的・明確であり、達成度を測定・判断する指標も適切です。

 

ただし、設定された目標は、個別の企業や工場で達成可能な目標値であり、紙パルプ産業全体に広く適用できるほどの一般性は薄いと思われます。

 

目標達成の必要条件のハードルが高いと考えられるものの、概ね目標値を達成しており、良好な成果が得られたと評価されます。 なお、短期期間の実証試験により有用性が証明されていますが、実用性の観点からは長期使用も重要であるため、今後の継続した検証が期待されます。

 

今後、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用は紙パルプ産業を挙げて取り組まなければならない分野であり、波及効果の大きいそれぞれの技術に実用化の目途を立てていることは優れた取り組みだと考えられます。また、個別の企業や工場においては、すぐに成果の事業化が可能で、もしくは既に事業化していることもすばらしいことだと言えます。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用は、材料化・エネルギー化ともに、良好な成果が得られていて、事業化の継続的推進が望まれますが、事業化については、引き続き連続運転の実施や効率化等の見極めを行う事項が残っており、フォローアップが必要と考えられます。

 

なお、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用の実用化に当たっては、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の排出場所、製造する紙の種類により、利用できる製紙スラッジ(ペーパースラッジ)は限定されると思われますので、最終処分場での製紙スラッジ(ペーパースラッジ) と排出場所の製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の灰特性を把握して、利用できる紙の種類を広げる必要があります。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用において、適切な目標を設定するとともに、設備側・研究側の間の充分な連携が行われています。

 

また、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用に必要な社内体制、実証試験工場等も適切に選択され、効率的に実施されていると言えます。ただし、全体として、大型予算投入に対して成果が個別的である感があります。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用については、多くの企業が課題を絞って実証試験を行なっていて、実用化の面でも大いに期待できます。

 

一方で、研究成果の実施による製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用には前提条件が多く、他工場への波及効果の程度は現状では大きな期待はできません。また、成果普及の面では、過大な予測も散見され、事業化可能性もしくは費用対効果の観点で引き続き検討する必要がある課題も存在します。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用の発想や着眼点は段階型、着実型で、革新的なブレークスルーにまでは至っていないため、日本の紙パルプ産業全体の強化につながる成果、世界での競争に打ち勝つ研究成果とまでは言い難いかもしれませんが、多くの企業が個別に適用できる成果であり、実機レベルでの実用化研究開発という点では、一定の成果が得られているのではないかと考えられます。

 

ただし、今後、波及効果という点からは更なる検討が必要だと考えられます。

 

また、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用は、地球温暖化対策・エネルギー対策としてだけでなく廃棄物対策に対しても少なからず貢献するもので、技術開発の資金的援助だけでなく、事業化の障害の除去などこれまで以上の支援が期待される分野です。

 

さらに、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の実用化にあたっては、研究段階での製紙スラッジ(ペーパースラッジ)と異なり、製造品種、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)管理方法等により製紙スラッジ(ペーパースラッジ)灰の特性がそれぞれの工場で異なるため、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)灰の変動を長期間に亘って把握し、再生紙の特性に影響を与えない利用範囲・方法等の確立も期待されます。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用を明確に実施するためには、事業化や波及効果の見通しと評価を詳細に行いつつ、費用対効果を分析することが必要であり、事業体制や研究開発実施の工夫等について、事前・事後評価を通じてより明確にされていることが必要です。

 

製紙スラッジ(ペーパースラッジ)の有効利用の事前の評価を徹底する等により、企画・立案する研究開発の施策上の必要性や事業化出口等を十分に明確にした上で、研究開発を推進していくことが望まれています。

 

(参考)「エネルギー使用合理化 ペーパースラッジ有効利用技術開発 事後評価報告書」